洛陽を愛した詩人・白居易




やや風は強いが、雨は治まった。
しかし着ていた服が、上から下までずぶ濡れになってしまった。
近くの店でトレーナーを買い求めて、濡れた上着やズボンを着替える。おかげで、身も心も軽くなった。
酒をこよなく愛した、中国の大詩人・白居易(白楽天)の墓は、龍門石窟の東山側の香山寺にある。
白園入口から階段を上ると、寺院に出た。境内の木々は、雨上がりの若葉で眩いほどだ。
木立に囲まれた白居易の墓石の周りには、いくつもの石碑があった。
「香山居士」との号の白居易が、この辺の風光を愛したというだけに、香山は今でも閑静な地である。
白居易は、晩年の18年間この地に住み、846年に75歳でこの世を去った。
その遺言通り、香山に葬られたのだ。
「長恨歌」や「琵琶行」などの作品で知られた白居易。その流麗で平易な詩は広く愛誦され、平安時代の日本文学にも多くの影響を与えていた。
「酔吟先生」とも呼ばれていたという白居易は、酒に酔っては、素晴らしい詩を吟じていたであろうと察する。この香山では、仲間と酒を酌み交わしては詩を吟じ、琴を弾じ、音楽を聴き、将棋を楽しんでいたともいう。実に風流な生活を送っていた、風流人・白居易である。
この香山寺は、蒋介石の別荘も残っている。





                                  
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