西安最大のイスラム寺院



賑わった、街中の鼓楼の近くにある清真大寺は、西安のイスラム寺院のなかでも最大規模を誇っている。建築様式の基調は中国風だが、殿内には偶像が無く、動物模様なども使っていないので、一切の装飾はイスラム風である。
この寺院の創建は742年だが、その後、各王朝によって拡張工事が行われた。明代の1384年には大修理が行われ、現在の規模に至っている。
モスク内の建物は、入口を東にして、西に向かって建てられている。信者が、西方のメッカの方向に礼拝するからである。礼拝は毎日5回で、その前に、シャワーを浴びるのが習慣となっている。
省心楼は、八角形の伝統的な中国の建築様式だ。千人以上の信者を収容できるという、礼拝大殿は瑠璃瓦で覆われている。
西安市には、約5万人の回族イスラム教信者がいるという。この人口は、西安における40の少数民族中で、トップを占めている。
それゆえ清真大寺は、西安に住むイスラム教徒の宗教活動の中心となっているのだ。シルクロードを通って伝わった、イスラム世界との交流の深さを物語る証であろう。
礼拝殿の周囲の壁には、イスラムの伝統的な装飾芸術の唐草模様を描き、その間にはアラビア文字が刻まれている。
イスラム教寺院では男女は同席せず、タバコも禁止されている。むろん、豚肉も酒も御法度だ。彼らの食べる肉は、羊と牛肉である。
女性は他民族と結婚しないが、男性は異民族と結婚できるという。西安には回教徒のための学校があり、子どものころからコーランを教えられているそうだ。
7世紀に伝わった中国のイスラム教は、二つのルートを通ってきた。
一つは、アラビアからイランを通り、天山南路を経てシルクロード沿いに伝わった。もう一つの道は、海のシルクロードからだ。アラビアから、インド洋を渡ってインドに入り、マラッカ海峡を横切って広州や泉州などに入っている。
中国全体のイスラム教信者は、回族を始めウイグル族、カザフ族、ウズベク族など、十の種族に及んでいる。大部分は、スンナ派に属している。コーランを根本教義とし、古代中国の文化や論理に融合して、発展してきた。そのため、中国の伝統的な風俗習慣や、文化芸術の特徴を色濃く持っている。





                                  
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