賑わうチョルスー・バザール



タシケントの街は、新市街と旧市街から成っている。新市街は、大地震の後に再建された区域で、街の大半を占めている。この地区の特徴は、広い道路と建物の単調さで、個性を欠いたソ連式建物ばかりだ。
一方、旧市街は賑わったバザールや、中世のイスラム建築が点在している。くねって、迷路のようになった土塀の間の小路は、まさにシルクロードの古を色濃く残している。
旧市街のクカルダシュ・メドレセから、北へ500mほど行ったところに、巨大な「チョルスー・バザール」がある。タシケントには、他にも大きなバザールがいくつかあるが、「オールド・バザール」と呼ばれているのはここだけである。
ドーム型をしたどっしりとした構えは、体育館のような建て方だ。その建物を取り囲むようにして、幾重にも屋台や露店が並んでいる。どの店も、隣との境が分からないほどに、商品を積み上げてある。野菜や果物、衣類、玩具……など、種々雑多である。
巨大なアーチの入り口から入る。見上げる丸屋根は、空間がもったいないと思うほど、高い天井だ。まさに、ドーム球場を思わせる。
商品が、順序よく並んでいる。香辛料や米、チーズ、フルーツ、漬物……など、区画ごとに整然としていた。
建屋内よりもバザールらしい、屋外の店の方が賑わっている。狭い道の両側に、店がぎっしりと並んでいた。野菜が多く、根菜などは土の付いたものばかりだ。
奥へ行くほどに、混み合っている。チャイハナ(茶店)もあり、その周りではラグマンを食べていた。ドンブリの中に入った、ラグマンは、具の他たっぷり入ったうどんと似ている。
そんな情景を眺めつつ、人込みの中を歩いていると、方向が分からなくなってしまった。汗をかきながら足早に歩き回り、やっと出口に出たときには、ほっとした。



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