玄宗皇帝と楊貴妃のロマンスの地



池と緑に囲まれた華清池は、西安から東へ30キロほど離れた山の麓にある。標高1256mの風光秀麗な地で、温泉地として名高い。ここにある華清宮で唐代の玄宗皇帝が、楊貴妃と愛の日々を送ったことでも有名である。
池を囲むようにして、宮殿式建物がある。垂れ柳が池の淵に垂れ下がっており、雅やかな雰囲気をかもし出している。
ここの温泉は、3000年ほど前にこの山が爆発して、湯が湧き出したという。それにより、歴代の皇帝によって離宮が置かれ、行楽の地として大がかりな造営が行われたそうだ。
玄宗皇帝は華清宮を造り、冬から春にかけては毎年、楊貴妃を伴って来たという。政務から遠ざかって、酒と歌舞と楊貴妃の愛に溺れた日々だったそうだ。そのために、国内情勢はしだいに悪化し、政治は窮境に陥ったようだ。
白楽天が『長恨歌』の中で、二人の愛情を詠っている。

「春寒くして浴を賜う華清の池、温泉の水滑らかに凝脂を洗う」

楊貴妃が「凝脂」を洗っていたという、蓮の花を模った浴槽は、今でも保存されていた。楊貴妃はそこで入浴してから、飛霞閣で髪を乾かした後、桐蔭軒で踊ったそうだ。そんな姿を玄宗は、入口で惚れ惚れと眺めていたという。
ここはまた、1936年に起きた「西安事件」の舞台でもあった。張学良らによって、軟禁の日々を送った蒋介石。彼が滞在した「五間庁」が、この華清地にある。その部屋のガラスには、当時の弾痕が残っていた。





                                  
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