五泉山公園から眺める黄砂


中国第二の大河でもある、黄河の水は澄んでいた。訪れたのが5月初めだったためで、雨期に入るとその名の通り、黄色の河に変身するそうだ。
黄河下りの観光船は大型であり、デッキ上のパイプ椅子に座っていても安定している。先ほど登った、白塔山の寺院の塔が聳えており、連なる家々やモスクが見渡せる。
川の流れは、実に速い。いくら泳ぎの達者なものでも、落ちたら流されてしまうだろう。両岸の土が、どこも大きく削り取られており、暴れ河の爪痕を残している。雨期の増水時には、さらに凄まじい流れとなることだろう。
白塔山の対岸にある、五泉山近くの船着場で下船する。
約2.5キロ南東へ行くと、皋蘭山(こうらんさん)の北麓にある五泉山公園である。標高1600mの樹林の生い茂った公園は、二千年以上の歴史がある。広い園内には、明や清代以来の建物が十ヵ所ほど建っている。
五泉山の歴史は、前漢に始まる。当時の将軍・霍去病(かくきょへい)が河西回廊の匈奴を討った帰りに、この場所で休憩したという。おりあしく水がなかったので、地面を剣で5回刺したところ、5つの泉が湧き出したそうだ。そんな伝説から、五泉山との名が付いたという。
その名の通り、甘露泉、掬月泉、摸子泉、恵泉、蒙泉という5つの泉がある。五泉山の高い場所に建てられた、主な古い建築群は、大雄宝殿、胡蝶亭、地蔵寺……などなど。
五泉山公園から約4キロ西へ行った、鉄道駅の蘭州西駅の近くに、「甘粛省博物館」がある。
博物館の中央は五階建で、両翼は三階建だ。さらに後方には、大展示場があり、かなり広いスペースになっている。
収蔵品は八万点に及び、多くは発掘品だ。新石器時代の彩色陶器を始め、前漢の銅、木器や、魏晋隋唐時代の仏教石刻などがある。
館には、嘉峪関で出土した、魏晋時代の壁画墓も移築されている。その他、シルクロードの歴史を凝縮したような、貴重な文物が多い。





                                  
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