賑わうウルムチのバザール




旅先のバザールを見るのは、楽しい。食料品を始め、衣類、日用雑貨、果物、野菜……など、ここに来ると総てが見られる。そこに住む人々にとってのバザールは、日々の生活を潤す場所であり、社交の場でもある。当然、地元民はサンダル履きで来るので、ふだんの生活を垣間見ることができる。
ウルムチには、大きく分けると三つのバザールがある。旅のガイドブックでも紹介されているのが、「二道橋バザール」と「新疆国際大バザール」である。もう一か所は、現地の人向けのバザールだ。
二道橋バザールは、かつて来たときに比べてだいぶ様変わりしていた。中国とトルコの合弁会社が出資して、再開発したという。雑然とした露店や、小さな店が軒を連ねていたときと比べて、すっきりとした店になっていた。でも、バザールらしさが消えていくのは、旅人にとっては残念だ。
建物が変わっても、店先の売り物はさほど変わってはいない。民族楽器やらウイグルナイフ、ウイグル帽子、玉の置物などが並んでいる。以前とは変わらず、どれも観光客向けの土産物が多い。
カラフルな矢絣模様のワンピースを着た、ウイグル族の女性のグループをそこここで見かける。そんな姿を眺めつつ、シルクロード交易で賑わっていた、往時のバザールの姿を想像していた。
5年前に来たときは、ウルムチ駅近くのバザールへも行った。そこは建物に囲まれた、広い中庭になっていた。ひしめき合った場所には、魚や野菜、ハム、チーズ、衣類、小間物などの店が、入り交じって並んでいた。サンダル履きの人々は、切れかかった揉みくちゃの紙幣をポケットから出して、買い物をしていたことを思い出す。





                                  
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