タシケントの金曜モスク



ザルカイナル通りを北へ、くねって細い旧市街の通りを行くと、「タシケントの金曜モスク」と呼ばれている、「ジュマ・モスク」がある。道路沿いにある、小さなモスクのドームはアルミのような金属で、太陽の光を反射していた。
現在も使われているモスクで、全体の建物は、公民館風で小さい。建物の角には、低いミナレットがある。その窓には、大きなラウド・スピーカーが取り付けてあった。モスクらしい風格、いや、格式ばらないイスラム寺院だ。言ってみるならば、下駄履きモスクといえよう。それゆえ、市井の人々に愛されているのかもしれない。
中庭の一隅には、小さな図書館がある。入口はメドレセのアーチ状で、二階の建て方は、ネパールの木造建築を思わせるユニークな姿だ。
館内の階下に、本が展示されている。吹き抜けになった二階の明るい窓際に沿って、机が並べられていて、そこが閲覧室だ。
ショー・ウィンドーには、各国語に翻訳されたコーランや、世界最古のコーランのコピ−が展示されていた。最古のコーランの「オスマン・クラーク」は、ティムールがダマスカス(シリア)から持ち帰ったものをコピーしたものだ。オリジナルは、書庫に保管されているそうだ。
小さな図書館ではあるが、内装が美しい。
道路を隔てた向かい側にあるのは、「バラク・ハーン・メドレセ」だ。いきなり道端から立ち上がったアーチは大きいが、全体にはこじんまりとした構えである。十六世紀に、シャイバニ朝のバラク・ハーンによって建てられた、神学校だ。中央アジアのイスラムの本庁が、ソ連時代からここに置かれている。
事務所になっている、ドアの開いている部屋を覗くと、散人の職員が机に向かっていた。




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