中庭での民族舞踊



鮮やかな青タイルの建物を回り込んだ一隅に、入口があった。中に入ると、さほど広くはないが石造りの中庭になっている。
全体が、白と青色を基調とした、模様タイルで統一されていた。飾られた四方の建物を見渡すが、華やぎの中にも気品が感じられるのは、王宮の建物だからだろう。
実はここで、民族舞踊ショーが見られるのだ。一人4500スム(450円)である。
中庭には、チヤイハナの店であったような、一段高くなった大きな方形の席が、四つ並んでいた。靴を脱いで、カーペットが敷かれた座に上がる。すぐに、お茶とお菓子が運ばれてきた。すると脇の入口から、楽器を手にした若者たちが飛び出してくる。その後に、踊り子たちが統いて来た。
大きな絨毯が敷かれた床の上で、華やかな衣装を着た、二人の踊り子が踊りだした。その二人を取り囲むようにして、打楽器や弦楽器を奏でる六人の男たちは、リズミカルに体を揺すっている。小学生ほどの少年も交じっていた。まるで、コサックの踊りのように、激しいリズムである。
赤と黒の民族衣装を着て踊る、二人の若い女性。両手には、一対の石を特っている。その黒く細長い石で、カスタネットのようにして、リズムをとっていた。
その楽器を「カイロク」といい、石器時代からホレズムで使われてきた、特有の伝統楽器である。二つの石のぶつかり合いから、伝統的なリズムを生み出している。
ウズベキスタンを含めて、中央アジアの代表的な楽器は弦楽器で、哀愁を帯びたエキゾチックな音色だ。それは、現代の楽器の原型となるようなものも、数多く残っている。
形や名前を少しずつ変えながら、シルクロードを通って東西に広まり、各地でそれぞれの発展を遂げたのだ。日本に伝わった奈良の正倉院の五弦琵琶も、その一つである。
ここの人たちは、無類の音楽好き、踊り好きだ。伝統的な音楽には、弾き語りで歌われるものが多いと聞く。中央で弦楽器を奏でていた高年のりーダーは、日本で演奏をしたことがあるそうだ。
一時間余りの踊りや演奏を楽しんだ後、ダンサーや奏者だちと一緒に記念撮影をしてから、タシュ・ハウリ宮殿を後にした。



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