歴代の大王のナグシェ・ロスタム



ペルセポリスから北東へ、五キロほど行った小高い岩山に、ナグシェ・ロスタムがあった。辺りには草木は見られず、黄土色の殺伐とした風景が広がっている。
垂直に近い岸壁には、アケメネス朝の王の巨大な墓が、四つ並んでいる。岩山の中腹に横穴を掘り、その周りの岸壁には見事な彫刻が施されている。その下部の岩肌には、サーサーン朝時代のレリーフが刻まれている。
「騎馬戦勝碑」のレリーフは、馬上のシャプール一世の前にビザンチン帝国の皇帝ウァレリアヌスがひざまずいている図だ。これは、ペルシア帝国が世界を支配していることを象徴しているといわれている。馬にまたがるシャプール一世を、写実的に描写していて、迫力のある大レリーフだ。
ナグシェ・ロスタムとは、「ロスタムの絵」との意で、このレリーフ群のことを示している。シャプール一世の姿を、ペルシア伝説の英雄ロスタムになぞらえ、名付けられたものである。
壁面の一画では、足場を組んで修復作業をしていた。その組んだパイプを足掛かりにして、上り下りする男たち。命綱も着けておらず、何とも危険このうえない。
墓の向かいには、ゾロアスター教(拝火教)の神殿が残っている。方形の石を積み上げた神殿は、聖火を祀っていたとも、聖典を保管していたとも、鳥葬の遺骸安置所だったともいわれている。



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