イスファハーンの夜の街歩き



「Aホテル」のラウンジには、大きな水槽がある。そこには色鮮やかな熱帯魚が泳ぎ回っている。
ひときわ大きい魚が、アロワナだ。ゆったりと泳ぐこの淡水魚は、まさに王者の風格があり、ずっと眺めていても飽きがこない。わたしは水族館へ行くと先ずアロワナの水槽を探すほど、好きな観賞魚である。それにしても、イランでアロワナにお目にかかるとは、思っても見なかった。



夕食後、その水槽の前でMさんと待合わせをして、街に出た。ホテルが、ロケーションの良い中心部にあるので、出歩くのは好都合だ。
金曜日の休日の夜なので、街は賑わっていた。家族連れや、友達どうしが一団となって、楽しげにお喋りをしながら歩いている。
テレビや冷蔵庫などを並べた家電屋や果物屋、パン屋、ジュース屋‥‥などが軒を連ねている。さすがに中心街だけあり、どの店も小奇麗に飾っている。
意外だったのは、服装品の店が多いことだ。店を覗いて見るとスカーフ類やバッグが多く、若い女性たちで賑わっていた。イスラム社会では、黒いチャドルやマーントーを想像しがちだが、さにあらず、国を問わず女性はお洒落である。



「スカーフを着けないでもいいよ!」と政府の御達しでも出れば、もっとさまざまなデザインと色の服装品で溢れるだろう。
道路は車が多い。ほとんど信号がないので、渡るのが一苦労だ。でも、シーラーズで何度も経験している。その要領を掴んでいるので、イラン人と一緒でなくても渡ることはできる。
車は飛ばして来るが、必ず停まる。でも強引に出過ぎては危険だ。また、危ないと思って下がってしまうと、よけい危険である。



少しでも車間距離がある所には、人であれ、車であれ、間に割り込んでくるのがイランの運転手だ。
Mさんはマンゴー、わたしはスイカのジュースを飲む。ミキサーからの絞りたては、美味かった。それに、Mさんのオゴリだったのでなおさらだ。
隣の果物屋で、ホテルで食べるために大きなザクロと桃を買う。それにわたしは、冷えたミネラル・ウォーターとノン・アルコール・ビールを忘れなかった。



ホーム

inserted by FC2 system inserted by FC2 system