さらばイスファハーン



30さらばイスファハーン
  楽しかった古都・イスファハーンの観光を終えて、夜の便でテヘランに戻る予定だ。
  明日は、イランの旅が最後の日である。市内の博物館巡りをしてから、インチョン(韓国)経由で成田に着くことになる。
  あどけないイランの子どもたちの笑顔や、人懐こい人たち。それに、気に入ったペルシア料理とも、お別れである。旅の終りに切なさが残るのは、いつものことだ。明日一日、イランをたっぷり楽しもう!
  夕食は、街中の小奇麗なレストランだった。羊の肉と、野菜の煮込みが旨い。肉が軟らかくて臭みがないのは、ハーブの効果だろう。



  焼きたてのナーンもうまいが、千切りにした野菜と、細かく千切ったナーンとを混ぜた、「アーブ・グーシュト」
が気に入った。円やかなシチューの味が、よく染み込んでいる。
 ボーイ長だという、若い長身君。一九〇センチ以上ある大柄な彼は、英語はもとより、フランス語とスペイン語を喋っている。
 わたしが片言のフランス語で話しかけると、水を得た魚のように、笑顔で応えてきた。彼はボーイたちに指示をすると、わたしの傍へ来て離れない。
 しばし、英語とフランス語とのチャンポンで話す。しかし彼の雄弁な喋りには、ボキャブラリーに乏しいわたしは、疲れてしまった。
夕食後、レストランから空港へ直行する。テヘランまでは四十分ほどの飛行である。午後十時五分フライト予定なので、十一時前には着くだろう。



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