砂漠の中の乾ブドウ市場



トルファンからウルムチへと向けて、砂漠の中の道路をバスは走って行く。
しばらくすると前方に、たくさんの青色のトラックが停まっていた。側には男たちが、三々五々と円陣を組んでいる。辺りに敷かれた白い布の上には、乾ブドウが積み上げられていた。
ここは、砂漠の中の乾ブドウ市場である。トラックで来た業者が、この場で取引をしているのだ。
辺りには、3、40kほど入りそうな白い布袋が、無造作に並んでいる。その商品に腰を下している無作法な男たちが、ちょっと気になるところだ。
我々にも、お土産に売ってくれるという。ビニールの小袋を出して、好きなだけ入れるようにという。値段は軽量せずに、袋を眺めて決めている。わたしのいっぱい詰まった袋は、20元(320円)だった。実に安い。
車窓から眺めるゴビ灘は、延々と続いている。砂漠のあちこちに、土造りの小さな四角な家を目にするのは、ブドウの乾燥小屋だ。ここに吊るしておくだけで、乾ブドウになってしまうという。
中国でも最も乾燥した、トルファンのこの地。天山の雪解け水を、カレーズによって砂漠に運び、大オアシスを造ってブドウを栽培した。丹精込めて美味なブドウを実らせ、乾ブドウを作る。砂漠を渡る熱風も、ここでは、乾ブドウを作るための天然の乾燥風である。
人が考えあぐねて、カレーズと自然の気候を利用して、やっと作りだした乾ブドウである。「人間とは、何と素晴らしいものか!」と、改めて感嘆の声を上げてします。






                                  
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