鳴沙山と月牙泉



敦煌の南方約5キロにある鳴沙山は、砂丘の連なりである。東西に約40キロに渡る広大な砂の峰だ。その最高峰は1715mで、五色の細かい砂粒の集まりで出来ている。赤・黄・緑・白・黒色の砂は、太陽の光や風によってさまざまな姿を見せている。鳴沙山との名は、強風に舞う砂の音が、管弦や太鼓のように響くところから名付けられたそうだ。
駱駝の背に揺られて、砂漠の中の小高い山々の間を進んで行く。遠方に見えるのは、月牙泉である。砂丘の谷間にある三日月形の泉で、そのほとりには楼閣が建っていた。三千年もの間湧き続けているという、まさに、砂漠の中のオアシスの象徴ともいえよう。
東西に200m、幅50mで、深さ5mという泉には、鉄背魚という魚や星草が生息しているという。この魚を食べると、長生きできると言い伝えられているそうだ。泉の周辺には木々や草が茂っており、ここだけが青々としている。
駱駝から下りて鳴沙山に登るが、砂漠の山は足を取られて上り難い。それに強烈な陽射しを受けて、たっぷりと汗を流した。
足元には、駱駝の糞を生きる糧としているフンコロガシや、砂の中からトカゲが顔を出した。何とも、生命力の強い生き物たちである。
黄色一色に塗り潰された、頂からの砂漠の眺め。眼下の月牙泉は、眩いほどのエメラルドの輝きを放っている。




                                  
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