待ちわびた昼食



 モスクを出ると、隣は賑わった「シヤブ・バザール」になっていた。野菜や果物が山と積まれている。辺りは、むっとする熱気と、香辛料の強い匂いが漂っていた。
 わたしは、ミネラル・ウオーターを買い、バザールの前にある、土産屋前の路上の土留め石に座って休んでいた。
 グラスから泡が溢れた、冷えたビールを思い浮かべつつ、生唾を飲み込む。胃袋が、昼食を合図している。
 付近には、わたしと同じように、疲れた顔をしたフランス人のグループも、石に腰を下ろしている。次々と物売りのオバサンが来るが、首を横に振ると、すぐに去ってゆく。
 バザール近くのレストランで、やっと遅い昼食にありつけた。
 具のたくさん入ったラグマンや、炭火であぶった、羊肉の串焼きのシャシリクは旨かった。それに、ニンジンと羊肉の細切れが入ったプロフもいける。さらに、焼きたてのナンが、ことのほか旨い。「『ナンはサマルカンド』と、ティムールの時代からいわれているだけのことはある」と、ビールのグラスを傾けながら、独り頷きつつニンマリとした。



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