イランの叙情詩人・サアディー廟



ハーフェズとともに、イランの二大詩人として称賛されているサアディー。ともに、シーラーズの地から輩出した、国民に愛されている詩人だ。
糸杉や花々に囲まれたサアディーの廟は、黄昏時だというのに、家族連れで混み合っている。子どもたちの屈託の無い笑顔や、そこここで上がる歓声が賑やかだ。
ペルシアの偉大な詩人サアディーは、1291年に亡くなるまでの生涯で、30年もの間、中東や北アフリカ、インドなどを放浪していたという。
シーラーズに戻ったのは70歳を過ぎてからで、ここで『ゴレスターン(薔薇園)』や『ブースターン(果樹園)』などの代表作を書き上げている。
現在の廟は、1864年に建てられたもので、ペルシア様式の糸杉が植えられた、庭園の緑が素晴らしい。
廟内には水槽が造られており、澄んだ水の中で、鯉のような魚が元気良く泳ぎ回っていた。そんな様を眺めていると、「イラン人は、水と緑に憧れています」とのガイド氏の言葉を思い出した。
イランの人たちは、いつも憧れている水と緑のある所を選んで、待ち合わせ場所にしているともいう。
古来オアシスに憧憬の念を抱いている、イラン人。それは今でも、変わりはないのである。



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